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相模川を眺む

山梨県から神奈川県の茅ヶ崎までのびる相模川。途中、世界的に指折りの水質と評価される横浜市の水道をささえる水源かん養林の道志川が合流したり、相模湖、津久井湖、ダム湖の宮ヶ瀬湖と丹沢を流れる支流も数多く、相模川の水系は思いのほか大きい。相模川の上流からのんびり海老名までバイクを走らせながら流域を眺めてみようと思った。

なお映像はiPhone11MAXでその場でできる加工をほどこしてアップロードしたのできれいとはいい難い。あしからず。

ひとまず道志川と相模川が合流する青山水道事務所に向かい、貯水池にそって深い緑のなかを道志川をたどると津久井湖に合流する。津久井湖は相模湖から流れる相模川本流と、道志川があわさる場所だ。せわしくトラックが行き来する橋と違って霧のかかる静かな水面は幻想的だ。

道志橋を見上げる。手前に広がるのは昔の道志橋だろうか。

水辺から道志橋まで戻って津久井湖を左手に眺めながらバイクを走らせると「城山ダム」がある。2つの河川から流れ込む大量の水を堰き止めるコンクリートの巨大な壁は、都会のビルとはちがう異質な重厚感と威圧感がある。

この城山ダムをすぎてすぐ相模川は右手にカーブする。山中湖から山梨県内では桂川と呼ばれる流れは大月や上野原を経て相模湖へ、神奈川県に入ると相模川と名を変えて西から東へ流れているが、関東平野に出ると丹沢の淵をたどるように南北へと川の向きが変わる。丹沢の山々と関東平野をわかつ流れが相模川のようにも見える。

この城山ダムからほど近いところに「大島」という中洲がある。実はここに立ち寄ってみたかった。というのも、調べてみるとこの辺は酒米で有名な山田錦の水田らしい。413号線から離れて中洲に向かうとぽっかりと水田が広がっていた。

大島に広がる水田。品種はわからないが山田錦らしい。映像は川上に向いている(橋の向こうはダム)

しばし美しい水田を眺めたら大島を出て相模川ぞいに20分ほどバイクで走る。できるだけ川沿いで走りやすそうな道を選んで走っていくと堰と水門があらわれた。神社と公園もあって、みると磯部頭首公園というところだった。公園には「相模川左岸用排水改良事業完成記念碑」(昭和23年(1948年)銘)と「水難供養塔」(昭和31年(1956年)銘)「五ケ村用水」」の石柱が設置されていて、それを読むと「この用水は、江戸時代後半に磯部村、新戸村など五ヶ村の水田に水を引くためにつくられました。また、その用水の取水口があるこのあたりは「すいどうぐち」と呼ばれています。」とある。

江戸時代に氾濫を繰り返す相模川は、浸水被害も甚大だったらしい。それを望月珪治という人がかんがい用水排水事業をてがけ、およそ20kmにわたって治水したとのことだった。かっこいい。

とすると、ここから相模川左岸に江戸時代から、そして昭和に整備された広大な田んぼが広がっていたはずだ。そして出発点がまさにこの場所だ。あれこれGoogleMapをながめつつ仮説をたてながらバイクを川沿いに走らせたところにある望地河原は相模川と平行して走る用水にそって美しい水田が広がっている。左岸用水を活用した場所かもしれないと思いを馳せる。映像の左側は相模川。右側に水田が広がっている。堤防沿いのしげみにウスバカゲロウかな?羽黒トンボかな?が飛んでいました。

磯部頭首工公園から望む堰、そして望地河原に広がる左岸用水かもしれない水田

道は相模川をわずかに離れ、JR相模線と絡むようにすすむ。途中、相模川によりそう道にそれていくと川沿いに広がる場所が新田宿だ。空が広い!

座間からもほどちかいここは名前の通りあたらしく農地が拓かれた場所らしく、区画がきれいにわかれた水田と一部畑が広がっている。コンクリート工場が近くにあるため水田のなかをコンクリートを積んだらしきダンプがひっきりなしに走るのも不思議な光景だ。

新田宿の向こう側はもう海老名だ。それにしてもこれまで東名高速道路やそのサービスエリア、あるいは国道246号線を走っていて何度も海老名は立ち寄っているものの、こんな美しい田畑が広がる場所とは知らなかった。巨大な流通の拠点、工場地のようなイメージだったがそれはごく一部で、主要道路から離れれば稲がゆれる場所だった。

座間からほど近い新田宿は区画整理された水田と畑が広がっていた

今日のゴールは海老名。手前に泉橋酒造があり、この酒蔵のすぐ脇に田んぼが広がっていた。
丹沢にある宮ヶ瀬ダムからのびる中津川や小鮎川もこの海老名で相模川に合流する。よく氾濫したという相模川。同時に3本の川があわさるこの場所は山から水と養分が運ばれる豊かな水田でもあっただろうし、同時に治水には並々ならぬ苦労があったのかもしれない。

国道246号線ぞいに広がる水田。ここにある泉橋酒造が酒米を育てているという。丹沢の山々から流れ出る豊かな水、流域に広がった水田、この地が長年にわたって育んできた風土がはぐくむ酒は格別に違いない。

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