『マギー キッチンサイエンス -食材から食卓まで』Harold McGee (著), 香西 みどり (監修, 読み手, 翻訳), 北山 薫 (翻訳), 北山 雅彦 (翻訳)という本がありまして、長いこと大好きな一冊です。クッキングサイエンスや分子料理よりも以前に、料理にまつわる科学を体系的にまとめてある本です。平易な言葉で書いてあるため読みやすく、それでいて学びに溢れています。
作家・料理家の樋口直哉さんとは長く仕事をしていて、少し前ですがReproという正確無比に温度調整が可能なIHヒーター用の料理映像を数本撮影しました。そのひとつに「120℃でつくるスマホのアイコンみたいな目玉焼き」があります。以外の料理も近々紹介したいですが、興味があれば上記のYou Tubeから辿ってもらえるといろいろあります。
ご覧いただけばわかるのですが、目玉焼きひとつを作る工程にサイエンスの情報が詰め込まれています。そういう演出を提案したのですが、想像をはるかに上回る樋口さんの情報と見事な語りで、撮影しながら、もう嬉しくて笑っちゃいました。全部、テキストに起こして「読み&聴く」にしたのは、この情報濃度をこぼしたくないなというねらいです。
音楽にはショパンのノクターン第9番(夜想曲第9番)をラテンにアレンジしたDavid Givesの曲を選定しました。見事なくらいタイミングもピッタリ。Reproの料理シリーズはこのアルバムの曲を使用するのが多かったです。クラシックを見つめ直して、再構築していくプロセスもまた樋口さんのアプローチに重なるものがあるからかもしれません。