コンテンツへ移動

弓削多醤油の五十石木桶づくりの歴史と未来

Vol.1 弓削多醤油 五十石木桶づくり 素材の飯能市東吾野の西川材の伐採

埼玉県飯能市

2024年春、創業100周年を迎えた弓削多醤油は、新たに「百年蔵」を建てました。そしていま、その蔵で使うための五十石の木桶づくりがはじまっています。

この木桶は、同社が長年取り組んでいる「埼玉テロワール醤油」づくりの一環として制作されるもの。使用する杉材は、弓削多醤油の前を流れる高麗川の上流、隣町・飯能市東吾野にある杉林から伐採されました。この地域の杉は、かつて江戸の町づくりを支え、「西の川(高麗川)から運ばれる木材」として「西川材」と呼ばれてきた歴史があります。

伐採をお願いしたのは、300年以上にわたりこの地で山を守り、林業を営む林家「木楽里(きらり)」の井上さん。木も山も知り尽くした、まさに森のスペシャリストです。

井上さんは、数えきれないほどある杉の中から、木桶づくりにふさわしい一本を見つけ出します。「一本の木ではなく、ひとつの山という生き物を見ると、自然と適した木がわかる」と語ります。

伐採作業は、周囲の木を傷つけないよう綿密な下調べから始まります。倒す方向を正確に誘導するため、引き綱を張って慎重に伐り倒していきます。

年が明けるころには、伐採した杉が林から運び出され、木桶へと生まれ変わっていく予定です。弓削多醤油の五十石木桶づくりの様子は、今後シリーズでご紹介していきます。

ドローンで記録する、静かな杉林のドラマ

今回の撮影は、すべてドローンで行いました。使用したのは、空撮ドローンとFPV(First Person View)ドローンの中間的な機能を持つ「DJI AVATA2」です。

この機体は、一般的な空撮ドローンの半分以下のサイズで機動性に優れ、障害物センサーが下部のみに設けられているため、狭い空間も飛行可能です。プロペラガードが付いているとはいえ、樹木などへの接触リスクがあるため、操縦には高い注意が求められます。

AVATA2を使うことで、FPVドローンならではのダイナミックな映像と、まるでジンバル撮影のような滑らかで静かなカットの両立が可能となりました。静謐な杉林の中で行われる伐採の様子を丁寧に描くことで、山という大きな存在、そしてそこに流れる300年以上の時を表現したいと考えました。


一滴の醤油の向こうにある、百年の物語

木桶は、いちどつくれば100年、150年と使い続けられるといいます。今回伐採された杉は、300年の歴史を持つ山に育ち、桶の側板には樹齢145年の杉が選ばれました。そして、弓削多醤油は創業100周年。次の100年、150年を見据え、つくられる「一滴の醤油」には、こうした時間の積み重ねが込められています。

その重なりを、今回の映像を通じて少しでも感じていただけたら幸いです。

#醤油 #木桶 #埼玉県グルメ #弓削多醤油 #飯能市 #japanesefood #soysauce

About Music

Maurice Ravel, Public domain, via Wikimedia Commons