群馬県川原湯温泉にある温泉旅館 山木館をマイクロドローンで撮影しました。
創業1661年の歴史ある温泉ですが、八ッ場ダムの建築にともない長年にわたって移転の問題を抱えてきた場所でもあります。平成26年7月に旧川原湯から現在の場所に移転して現在に至ります。撮影したのは移転後の旅館です。
山木館の移転の際にそれまでの歴史を繋ぐために養蚕農家の古民家をリノベーションしたのだそうです。実際、旅館をめぐると新たに建てられた真新しさもありながらも、柱や梁、食事処にある囲炉裏などにはずっしりとした歴史の重さが宿っています。
歴史ある旅館ではありますが、15代当主の樋田さんはお客様のプライベートな空間と時間をできるだけ確保するようにと客室への出入りを控えたり、食事処も個室(つなげると広間にも展開できますが)を基本としていたり細部にわたって気遣いのある運営をしています。
映像にも登場する3室ある離れは、各室内に浴室もあり、他の客室からも廊下で離れているなどいう点でも徹底しており、実際に離れの部屋のなかにいると庭の鳥のさえずりが聴こえる以外は静寂そのもので、都会の喧騒をすっかり忘れてしまいます。
今回くわしく取り上げていませんが、食事ではかまど料理がふるまわれます。熱源はIHなので安全でありながら羽釜と曲輪で調理された料理はとても風情があります。曲輪は桜の皮で編んであるものもあり、そういうところも味わいぶかいところでした。
そういえば、各室の入口にきれいな糸巻きが飾られています。あたらしい場所で、歴史ある建物と文化とともに次の時代にむかって紡いでいく、山木館のすてきな想いがそこにも宿っています。
技術的なこと
再生モニタの制限(通常16:9)がないこともあり、1:1のアスペクト比で書き出しています。
その理由ですが、撮影・編集をしながら日本の家屋は障子・畳をはじめとして、1:1と1:2で構成されているものが多いため、映像も1:1にしたほうが視界に入ってくるリズムがきれいだと感じたからです。
また上下の視点をより広く見せることができ豊かな映像になればと思っています。天井にある立派な梁。畳の美しさ、木々の緑や花の美しさは上下いっぱいの映像で味わえるかと思います。
正方形のアスペクト比で書き出すことができたのは、使用しているカメラがGopro11だったことが大きいです。Goproはセンサーサイズが8:7とほぼ正方形です。16:9の場合は、ほぼ正方形の映像の上下の情報をトリミングして書き出しているので、せっかくの豊かな映像がもったいないなと想いました。
- 機材:自作マイクロドローンU99+DJI mini3 pro
- 撮影:GP11(Gopro11改造)、8:7、10bit、50fps、
- 編集:DavinciResolve18.6